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米国雇用統計の意味と読み解き方

2015年12月17日 - 米国経済指標
米国雇用統計の意味と読み解き方

数多いアメリカの経済指標の中でも、特に重要視されているものと言えば「雇用統計」があげられます。
重要であるということは知っていても、何故重要なのかまで知っている人はあまり多くないのではないでしょうか。

今回はアメリカの雇用統計について見ていきましょう。

雇用統計とはなにか

そもそも雇用統計とはどのような経済指標なのでしょうか。「雇用統計」とは毎月第一金曜日にアメリカ労働省から発表される、雇用に関するいくつかの経済指標のことを言います。
雇用統計として発表される全ての経済指標が重視されているのではなく、複数ある経済指標の中でも、

の3つが特に重視されている経済指標として知られています。
これらの3つの中でも特に重視されている統計としては、事業所調査によって非農業部門に属する事業所の給与支払い帳簿を基に集計された就業者数を表す「非農業部門雇用者数」と、「失業者÷労働力人口×100」で定義される「失業率」の2つがあります。

特に非農業部門雇用者数は、アメリカの経済政策変更のきっかけとなることも多く、アメリカが発表する経済指標の中でも最も注目される経済指標の1つとして知られています。
おおよその目安として、この非農業部門雇用者数が毎月15万人程度の増加を維持していれば、アメリカの景気は改善傾向にあると判断されるようです。

雇用統計はなぜ重要なのか

景気動向を予測するために欠かせない雇用統計は、重要な経済指標として知られています。そのため、雇用統計が商品価格への影響も大きいものと言われています。

雇用統計では就業者数や失業率が発表されるため、就業者数が増えていれば労働環境が改善傾向にあるだけではなく、労働者の不足にともなって発生する平均賃金の上昇しやすくなります。賃金の上昇により、労働者の消費需要も拡大するため、商品そのものの値段が上がり、結果として労働者の賃金に還元されるというゆるやかなインフレによる景気の好循環が期待できるようになります。
このように雇用統計を分析することによって、アメリカ経済の先行きを予測することも可能であるため、雇用統計は重要な経済指標の1つと見られているのです。

グローバル化が進んでいる現在でも、アメリカ経済は世界経済の半分ちかいウェイトを占める重要な国であるため、アメリカ経済の先行きを予測することは世界経済の先行きを予測することにもつながります。
そのため、雇用統計の発表は世界の市場関係者から注目される、とても重要な経済指標の1つなのです。

雇用統計が市場に与える影響とはなにか

雇用統計は毎月発表される経済指標であり、事前予想と実際の発表内容が大きくことなることが珍しくない経済指標として知られています。

雇用統計の内容によっては、株式・為替をはじめとする相場の値段が大きく動くこともあり、雇用統計の発表前に持っているポジションを小さくして、リスクを小さく抑えようとする投資家はかなりの数に登ると言われています。

おわりに

雇用統計を詳しく分析していくと、アメリカの景気動向についてかなりの精度で把握することができるようになります。
しかし事前予測と発表内容が大きく食い違うことが珍しくないため、雇用統計だけを頼りとする取引はリスクが高いと言えるでしょう。

参考サイト
ロイター