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米国生産者物価指数の意味と読み解き方

2015年12月17日 - 米国経済指標
米国生産者物価指数の意味と読み解き方

消費者の立場からインフレ率を図る「消費者物価指数」に対して、生産者の立場からインフレ率を測定するのに使われているのが、「生産者物価指数」です。

今回はこの生産者物価指数について見てみましょう。

生産者物価指数とはなにか

生産者物価指数(Producer Price Index = PPI)は、労働省より発表される経済指標の1つです。米国製造業者の販売価格の動向を調査して指数化した経済指標であり、消費者物価指数(CPI)と並んで、インフレ率を図るためには欠かせない経済指標の1つと言われています。消費者物価指数と同じく、全ての製造段階において振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重視されていて、日本銀行が作成している「卸売物価指数」に近い経済指標です。日本の卸売物価指数と異なる点として、卸売物価指数は輸送費や流通マージンを含んだものになっているのに対して、生産者物価指数は生産者の出荷時点での価格を対象としている点があげられます。

生産者物価指数は、製造段階別(原材料・中間財・最終財)と品目別、産業別の数値がそれぞれ測定されて、前月比と前年比の2つの数値が発表されますが、特に完成財の数値が注目されています。

生産者物価指数はいつ発表されるのか

生産者物価指数は、毎月15日前後の木・金曜日(夏時間:日本時間午後9時半、冬時間:日本時間午後10時半)に発表されます。

生産者物価指数はどのような影響をもたらすのか

生産者物価指数は、消費者物価指数と同じくインフレ率を図るために欠かせない経済指標の1つです。
「インフレ」とは正しくは「インフレーション(inflation)」と言い、経済学においてモノやサービスの全体の価格を表す物価が、ある期間において持続的に上昇する経済現象のことを言います。

経済やサービスに対する需要が増加することで、経済全体の需要と供給のバランス(均衡)が崩れて総需要が総供給を上回ったときに、物価の上昇(貨幣価値の下落)によって需給が調整されると発生するのが典型的なインフレです。
インフレとは反対に、物価の下落(通貨価値の上昇)は「デフレーション(deflation)」と言い、景気が後退しているときに発生しやすい傾向があります。

物価の上昇をまとめてインフレと呼んでいる場合がありますが、正しくは景気が拡大しているときの物価の上昇をインフレと呼び、景気が後退しているときに起きる物価の上昇は、スタグフレーション(stagflation)と呼ばれています。

極度のインフレ(ハイパーインフレ)の進行は、通貨の信用を損なうだけではなく、経済自体にも悪影響を与えるために警戒されています。しかし数%程度のインフレの進行であれば、経済状況の悪化ではなく安定した景気の拡大を意味しているため、各国の中央銀行は物価の安定とインフレの抑制を秤にかけて金融政策を決定しています。各国の中央銀行の金融政策を決定するときにインフレ率をはかる経済指標として消費者物価指数と並んで重視されているのが、生産者物価指数なのです。

生産者物価指数が上昇すると、消費者が購入する物価も上昇してインフレが進んで貨幣価値が下がるため、通貨が買われやすくなります。反対に生産者物価指数が下落すると貨幣価値が上がるため、通貨が売られやすくなります。

おわりに

生産者物価指数は消費者物価指数と並んでインフレの状況は把握するためには欠かせない経済指標の1つであり、雇用統計と並んで重視されている経済指標です。是非とも注目するようにしてみましょう。

参考サイト
ブルームバーグ