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米国建設支出の意味と読み解き方

2016年5月30日 - 米国経済指標
米国建設支出の意味と読み解き方

米国建設支出とは

米国建設支出とは、アメリカ国内における建設支出について、住宅建設、商業施設建設、公共施設建設の区分ごと集計した経済指標のことを言い、毎月第一営業日に前々月分の内容が米商務省から発表されます。

米国建設支出の特徴と見方

建設支出はアメリカのGDPの約20%を占めると言われている住宅、商業施設、公共施設の建設に要した建設会社が支出した毎月の費用をまとめた経済指標であり、主にアメリカのGDPや景気動向を探るための経済指標として使われます。
建設支出は、住宅・商業施設・公共施設の3つに区分されて発表され、それぞれが米国のGDPに占める割合は、住宅3%・商業施設5%・公共施設11%程度と言われ、単独でアメリカ経済に大きな影響を与えられる重要な経済指標です。
住宅・商業施設・公共施設のそれぞれの建設動向がアメリカ経済に与える影響については、次のような見方が主流となっています。
 

住宅

個人向けの住宅建設が増加することにともない新品の家電や家具も買われやすくなるので、耐久財の需要増が期待されて、経済にとってプラス要因となります。
住宅建設の需要はアメリカの金利動向のうち、主に利下げによって刺激される傾向があります。
 

商業施設

商業施設の建設が増加していることは、企業が設備投資に対して積極的になっている可能性が高いことを表します。また、建物ができてから設備の据え付けが行われるため、商業施設の建設は企業の設備投資の先行指標として見られ、建設支出の中でも比較的注目度が高い項目です。
 

公共施設

アメリカのGDP20%を占める建設支出の中でも、11%を占める公共施設建設は、単独のセクターとしてアメリカ経済に与える影響が極めて大きいのが特徴です。
1920年代のニューディール政策の時代から現在にいたるまで、公共施設建設は景気対策としてその有効性を認められているため、その発注動向は好況期には減少し不況期に増加する傾向があるだけでなく、公共施設に占める割合が大きい州・地方政府、また連邦政府による発注実績に左右されやすいという特徴があります。

米国建設支出の注意点

アメリカのGDPの20%という極めて大きな割合を占めるアメリカの住宅建設に関する経済指標である建設支出は、同時に耐久財の需要を直接表す経済指標となるため、景気動向を予測するために欠かせない経済指標の1つです。
建設支出は集計・分析の対象となる期間から実際に経済指標として発表にされるまでの期間が比較的長いため、他の様々な経済指標を参考にしながら建設支出の結果を予想することも可能です。

このように極めて有用な経済指標である建設支出ですが、分析に用いるときには、建設支出は大型受注などによって大きく左右されるので一時的に建設支出が増大するような動きが見られるなどの注意点があります。
建設支出を見るときには、建設支出に対する支払い総額ではなく、前回の結果に対してどれだけの支出の変動があったのかという部分が外国為替市場での注目点になります。

おわりに

設備投資と並んで波及効果の大きい住宅や商業施設、公共施設の建設支出は、アメリカ経済の動向を大きく左右します。
速報性には劣るものの、アメリカのGDPの20%を占める建設動向について集計・分析してるため、注目度の高い経済指標と言えるでしょう。