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米国中古住宅販売件数の意味と読み解き方

2016年2月5日 - 米国経済指標
米国中古住宅販売件数の意味と読み解き方

市場で取引される財には大小様々なものがありますが、単体での金額の大きさと波及効果から、金融市場から特に注目を集めるのが、住宅と自動車の販売です。
今回はこの2つのうち、中古住宅の販売数を見るときに欠かせない経済指標である「米国中古住宅販売件数」の内容について見てみましょう。

米国中古住宅販売件数とはなにか

米国中古住宅販売件数とは、NAR(National Association of Realtors = 全米不動産業者協会)が毎月発表する、アメリカ国内で販売された集合住宅を含む市場で取引されている中古住宅の中でも、所有権移転が完了した販売件数(季節調整済・年率換算)のことを言います。中古住宅販売件数は、全米と4つの地域(北東部、中西部、南部、西部)の中古の一戸建て住宅の販売件数・販売価格・在庫に加えて、コンドミニアムと共同住宅を含めた数字となっています。

米国中古住宅販売件数は何を表しているのか

中古住宅販売件数は新築住宅販売件数と同様に、景気動向に対して先行性が高いと言われています。特にアメリカの中古住宅の取引市場は他国と比べると非常に大きく、新築住宅と比べると6倍から10倍もの規模があるため、その波及効果の大きさとともに住宅に関わる経済指標の中では特に注目される経済指標として知られています。

中古住宅の場合、契約の成立から受け渡しまでには1ヶ月から2ヶ月程度の時間が掛かるため、実際の動向よりも遅れて経済指標に表れます。
しかし住宅の購入は家計最大の出費でもあることから、景気の動向を敏感に反映することが知られています。家計の中でも最も大きく、長い期間に渡って支出される費用であるため、家計の所得状況や住宅ローン金利動向に影響を受けやすく、特に金利上昇時には駆け込み需要が増加することも多く見受けられます。

中古住宅販売件件数に似た経済指標として知られている経済指標としては、中古住宅販売成約件数があります。こちらは物件の受け渡し契約が成立した時点でのデータを集計した経済指標であるため、中古住宅販売件数の先行指標として注目する市場関係者も少なからずいることから、一部では注目されている経済指標です。

住宅販売件数はどのような影響を及ぼしたのか

サブプライムローンが浸透したために米国の住宅取引が最高潮に達していた2005年の夏には、年率換算で700万件程度の販売件数が記録されました。
しかし住宅価格の下落をきっかけとするサブプライム危機が発生とともに、新築・中古を問わず住宅の販売件数は急減し。2009年初頭には450万件程度まで落ち込みます。活発な住宅取引を背景とした信用飽和による史上空前の好況と、信用収縮をきっかけとする経済恐慌は、2007年からはじまる世界金融危機の切っ掛けとなりました。

中古住宅販売件数はどのように扱うべきか

新築・中古を問わず、住宅を購入することは家計の中でも最も大きな出費であるだけではなく、長期間に渡って支出を強いられる買いものでもあります。そのため、一般の家庭が居住することを主な目的として住宅を購入するときには、そのときの収入や経済環境、金利をはじめとする様々な条件と擦りあわせを行いますが、一般的に好況期には住宅売買が盛んになり、不況期には大きく落ち込みます。
そのため、住宅売買の経済指標は、景気動向を見るために欠かせない経済指標として市場関係者から注目されているのです。

おわりに

新築・中古を問わず住宅売買は一般家庭の中でも最も大きな支出の1つであり、その動向を見ることは景気全体を見ることにもつながります。そのため、中古住宅販売件数は景気の先行きを示す経済指標の1つとして注目されているのです。