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米国輸入物価指数の意味と読み解き方

2016年6月14日 - 米国経済指標
米国輸入物価指数の意味と読み解き方

米国輸入物価指数とは

米国輸入物価指数とは、アメリカ労働省が毎月中旬に発表するアメリカが海外から輸入した物品やサービスまで含めた全ての輸入物件のうち、非軍事物資やサービスの輸入時点での物価指数のことです。
米国輸入物価指数は、アメリカにおける輸入時点での物価水準を、2000年の100を基準として指数化したもので、約2,000の企業と4,000の物品が対象となっています。

米国輸入物価指数の発表時期・時間

米国輸入物価指数は、毎月中旬ごろ(夏時間:日本時間午後9時半、冬時間:日本時間午後10時半)に労働省労働統計局から発表されます。

米国輸入物価指数の特徴

インフレ動向を表す経済指標として注目される経済指標はいくつかありますが、米国輸入物価指数はそれらのインフレ動向を表す経済指標に先行する経済指標として注目を集めます。

インフレ動向を表す経済指標は、生産者物価指数(Producer price index = PPI)や消費者物価指数(Consumer price index = CPI)が知られています。
経済活動の基本として、ある製品が消費者に届くまでにはメーカーから卸売、卸売から小売、小売から消費者と段階を踏み、小売店での販売価格は、流通の過程で発生する各種コストと利益を上乗せした価格になります。
そのため、インフレ動向を表す経済指標も輸入物価指数から生産者物価指数、消費者物価指数の順に波及するため、輸入物価指数はインフレ動向に先行する経済指標として注目されているのです。

注意したいポイントとしては、輸入物価指数は消費者物価指数と異なり大本となる輸入レベルのインフレ動向を表す経済指標であるため、必ずしも一般消費者レベルの物価変動につながらないことや、海外との取引の結果をまとめる経済指標であるため、外国為替市場での為替レートの変動の影響を受けやすいことがあげられます。
輸入物価指数は数%程度の安定したインフレ、いわゆる「望ましいインフレ」を超えてインフレ懸念が加熱すると注目が集まりますが、普段の注目度は低く、内容によって株式市場や債券市場、外国為替市場が大きく動くことはほとんどない経済指標でもあります。

米国輸入物価指数の見方、注意点

約2,000の企業と4,000の物品を対象として物価変動を測定する経済指標である輸入物価指数は、実際に輸入品のインフレ率を測定するために欠かせない経済指標であり、インフレ動向を表す経済指標である生産者物価指数や消費者物価指数に先行する経済指標として注目されています。
輸入物価指数は他の経済指標と同様に、事前予測と発表値の差を重視します。予想より高い測定値であれば米ドルにとってポジティブ(強気)であるとされ、米ドルを買う材料とされますが、予想より低い測定値だった場合は米ドルにとってネガティブ(弱気)であると解釈され、米ドルを売る材料とされます。

おわりに

ここまで見てきたように、米国輸入物価指数はインフレ動向に先行する経済指標として知られていますが、より精確な値が発表される生産者物価指数や消費者物価指数のほうがインフレ動向を表す経済指標として注目されています。
注目したい経済指標の1つですが、重要度はあまり高くない経済指標と言えるでしょう。