
新規失業保険申請件数は、毎週発表される珍しい経済指標であり、失業率の先行指標として注目を集める経済指標として知られています。
今回は、そんな新規失業保険申請件数について見てみましょう。
この記事の概要
新規失業保険申請件数とはどのような経済指標か
アメリカの経済指標の1つである新規失業保険申請件数は、失業者がはじめて失業保険給付を申請した件数を集計した経済指標として知られています。
新規失業保険申請件数は、経済指標には珍しい毎週発表という速報性からその注目度は比較的高いのが特徴です。
新規に失業保険を申請した人が増えるということは、失業者が増加傾向にあるということを意味し、雇用統計の先行指標として重視されています。
新規失業保険申請件数の内容
新規失業保険申請件数は、毎週木曜日のニューヨーク時間午前8:30(日本時間標準時 22:30 / サマータイム 21:30)に前週の件数が労働省から発表されます。
一般に新規失業保険申請件数は、失業率が発表されるまでに4週から5週分の発表があることから雇用統計(失業率)の先行指標(予測の参考)として使われ、好況・不況に対して数カ月程度の先行性があると言われます。
2008年のリーマンショック前後では、申請件数が毎週40万人 / 毎月160万人を超えるかが雇用環境悪化の分岐点と考えられていました。
現在では毎週30万件 / 毎月120万件程度の申請数に落ち着き、徐々に経済も上向きつつあると考えられています。
新規失業保険申請件数をどのように活かすのか
新規失業保険申請件数は失業率の先行指標であり、失業保険の申請件数が前回の発表や予想よりも増えると、雇用情勢が悪化して失業者が増加していると予想されることから、ドル売りに繋がる可能性があります。
ただし、米国では失業保険に加入してない労働者もかなりの数にのぼるため、新規失業保険申請件数で失業率のコンセンサスはできるものの、必ずしも新規雇用創出のトレンドとは一致しないということです。
新規失業保険申請件数は週ごとの集計・発表となるため、祝祭日などのイベントごとやハリケーンや豪雪など天候の影響を受けやすいという特徴があるため、トレンドを見るときには、4週後方移動平均をはじめとするある程度の期間の平均を算出した上で見るのが一般的です。
また、新規失業保険申請件数は失業保険の申請件数の統計です。そのため転職活動中の失業保険の申請もカウントされるので、同時に雇用が増えていれば新規失業保険申請件数の増加は必ずしも直接景気悪化に繋がるとは限りません。
このように、新規失業保険申請件数は長期的な米ドルの動きを読むにはそこまで大きなインパクトはありませんが、短期的な米ドル取引の変動には影響しやすい指標と言えます。
新規失業保険申請件数のポイント
- 毎週木曜日に発表される週ごとの失業保険の申請件数
- 失業率のコンセンサスを形成するのに重要な役割を果たす先行指標
- 週ごとの集計・発表のため、祝祭日・イベントや、天候の影響を受けやすい
- 新規失業保険申請件数の増加は、必ずしも失業率の悪化とイコールではない
- 短期の為替取引に影響を与える経済指標の1つ
おわりに
新規失業保険申請件数は、失業率のコンセンサスを形成するのに重要な役割を果たす経済指標の1つとして注目されています。
しかし変動要因によるブレが大きいため、必ずしも失業率の先行指数として正確なわけではありません。あくまで先行指標の1つとして参考にするのに留めておきたい経済指標と言えます。