
この記事の概要
米国製造業新規受注とはどのような経済指標か
製造業新規受注は、出荷・在庫・新規受注・受注残高が発表される経済指標です。数ある経済指標の中でも注目度の高い経済指標です。
中でも新規受注全体の数値から航空機(輸送用機械)を除いた「非国防資本財受注」は、設備投資の先行指標とされ、特に注目されています。
毎月上旬(夏時間:日本時間午後11時、冬時間:日本時間午後12時)に、前月分の数値がアメリカ商務省センサス局から発表されます。
米国製造業新規受注はどのように読みとくか
冒頭でも軽く説明しましたが、製造業新規受注は、どのように読みとく経済指標でしょうか。
景気拡大時には個人消費が活発になるので、製造業は急な需要の増加に対応するために在庫の積み増しを進めるために生産活動を活発におこない、新規受注に繋がることが期待できます。
製造業の新規受注は、受注から製品の出荷まで一定の時間がかかることから一定のタイムラグがあるため、製造業新規受注は景気動向の有力な先行指標とされています。
製造業新規受注は、年間の出荷が5億ドル以上の製造業者からの報告に基づいて集計・発表され、
- 出荷
- 在庫
- 新規受注
- 受注残高
の4項目が発表されます。
景気の先行指標として注目を集める製造業新規受注ですが、祝祭日や天候状況などの月ごとの特殊要因によって振れ幅が大きいことで知られています。
また、単価・受注量ともに振幅が大きく、平時と有事の間の金額のかい離の大きく統計にブレをもたらす航空機(輸送用機械)を除いた「非国防資本財受注」が特に注目されています。
製造業新規受注はBEA (Bureau of Economic Analysis = 米国商務省経済分析局)によるGDP概算の資料作成や、FRB(Federal Reserve Board = 連邦準備制度理事会)による経済動向の予測をはじめとして、アメリカ経済の動向を予測するときに官民問わず幅広く利用されています。
アメリカ経済の景気動向を表す製造業新規受注
ここまで何度か触れてきましたが、製造業新規受注はアメリカ経済の景気動向の先行指標として扱われています。
特に新規受注は製造業がどれだけ活発な経済活動をこれからおこなうかを予測するために欠かせない統計であり、設備投資のための先行指標として特に注目を集めることで知られています。
建物や製造機械設備の増強・更新など製品の製造と比べると1回の出費が極めて大きくなる設備投資は、単体でも周辺への波及効果が大きいことで知られています。
そのため製造業の生産活動が活発になり、設備更新がひんぱんにおこなわれると、景気は上向いていると考えられます。
このように製造業新規受注が前月と比較してどれだけ良く(悪く)なったかを把握するだけでも、アメリカ経済がどれだけ活発に活動しているかを把握する一助となるのです。
ただし、製造業新規受注は月ごとの変動要因による統計のブレが大きいだけではなく、国際情勢に左右される国防資本財受注も統計に含んでいます。
そのため、製造業新規受注の内容を反映した取引をおこなうときには、類似する経済指標と照らしあわせてから取引にかかるのが賢明と言えるでしょう。
製造業新規受注の特徴のまとめ
【長 所】
- 製造業の部門別の分析が、季節調整後・前のデータとして発表される
- 将来の収益に影響する在庫や新規事業などのデータが発表される
【短 所】
- 2ヶ月前の数字のため、タイムリーではなく、耐久財に関する経済指標は既に発表済み
- 価格ベースではなく、数量ベースでの比較は困難
おわりに
製造業新規受注は一部内容で別の経済指標の速報値と重複するために速報性に欠けますが、特に航空機(輸送機械)を除いた「非国防資本財受注」は、アメリカ経済の景気動向を予測するためには欠かせない経済指標の1つであり、注目したい経済指標と言えます。