
この記事の概要
アメリカ個人消費支出とはどのような経済指標か
PCE(Personal Consumption Expenditure = アメリカ個人消費支出)とは、BEA(Bureau of Economic Analysis = アメリカ合衆国商務省経済分析局)が個人所得と同時に毎月月末(標準時:日本時間21時30分、冬時間:日本時間22時30分)に発表する、個人消費のうち変動の大きい食品・エネルギーを除いた個人消費の物価動向を示す経済指標です。
GDPの約7割を占めるアメリカの個人消費支出を表すPCEは、アメリカのGDPの先行指標として、市場関係者から注目される経済指標として知られています。
アメリカ個人消費支出はどのような内容を含むか
PCEは毎月の発表時に、個人所得と個人消費支出の対前月比が注目されます。
また、所得の構成項目(賃金給与、賃貸収入、利子配当等)や可処分所得・貯蓄率なども同時に発表されます。
なお、個人消費支出においての個人所得とは、給与・賃貸収入・利子・配当などの全ての所得の合計から、社会保険料を控除したあとの「個人が実際に受け取った所得」のことを言います。
また個人支出(個人消費支出)とは、
- 自動車や家電製品などの「耐久財」
- 食品や衣料などの「非耐久財」
- 旅行や外食などの「サービス支出」
の3つから構成されています。
アメリカのGDPは7割が個人消費、残る3割が財からの支出により構成されているため、個人消費の動向はアメリカ経済の動向を予測するためにも欠かせない経済指標の1つです。
アメリカ個人消費支出はなぜ注目されるのか
特に変動の激しい食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレータは、FRBがインフレ指標として最も重視していることで知られ、一般的にFRB関係者は、PCEコアデフレータの数値は、数%(1%から2%の間)が心地よい水準としています。
PCEコアデフレータは、類似する経済指標として知られているCPI(Consumer Price Index = 消費者物価指数)コアとは計算方法や集計対象が異なります。
PCEコアデフレータでは、CPIコアとは異なり、代替効果による上方バイアスが生じにくいことや、保険制度による医療費負担など間接的な支払いが含まれていることが特徴であり、CPIコアよりも消費活動の実体を正確にあらわしていると考えられます。
FRBが文書や会見などでコアインフレの数値に言及したときには、一般的にCPIコアの数値ではなく、PCEコアデフレータの水準を示していることがほとんどです。
アメリカ個人消費支出をどのように取引に活かすのか
このようにアメリカのGDPの先行指標として注目されるPCEは、FRBの金融政策も大きく左右することで知られ、PCEコアデフレータが上昇するとFFレートは引き上げられ、低下すると引き下げられると考えられます。
これにより米ドルを中心とする外国為替市場の動向もドル高・ドル安に動きやすくなるため、PCEコアデフレータの数値は注目したい経済指標と言えるでしょう。
アメリカ個人消費支出の主なポイント
- 個人の消費動向に大きな影響を及ぼす
- 個人所得の拡大期は雇用市場も良好であることが多い
- PCE(個人消費支出)コアデフレータに特に注目
おわりに
このようにアメリカ個人消費支出は、アメリカのGDPの7割を占めると言われる個人消費を把握するのに欠かせない経済指標の1つです。
その動向はFRBの金融政策だけではなく外国為替市場にも大きな影響を及ぼします。