
アメリカの住宅着工件数は、景気動向にとても敏感なために米国の景気関連の先行指標として高い注目集める経済指標として知られています。
今回は、そんなアメリカの住宅着工件数の意味と読み解き方について詳しく見ていきましょう。
この記事の概要
アメリカ住宅着工件数とはどのような経済指標か
住宅着工件数は、対象となる月中に工事が開始された新築住宅の戸数を集計した経済指標であり、建設許可件数と同様に季節調整済みの年率換算ベースで発表されます。
住宅着工件数は新築住宅販売件数や中古住宅販売件数に先立って毎月発表される経済指標の1つであり、景気動向に敏感な新築住宅販売件数や中古住宅販売件数以上に景気動向に敏感であるため、景気の先行指標として、もっとも注目を集める経済指標と言えます。
新築住宅が1軒立つと、それに合わせて家具や電気製品などの耐久消費財の需要が増加するため、個人や家庭の消費動向にも密接な関連のある経済指標としても知られています。
更にアメリカでは、日本と異なり自宅を担保としてお金を借りるホームエクイティローンに代表される様々な不動産ローン商品が充実していることから、住宅の価格や販売動向は日本の住宅以上に消費全般へ幅広く影響を及ぼします。
住宅着工件数はどのように読み解くのか
住宅着工件数の統計は、公営住宅を覗いた一戸建てと集合住宅に分かれて集計され、統計上では一戸建てが全体の約8割を占めるとされています。
住宅着工件数はそのときの気候の変化や自然災害に左右されやすいので月次ごとの変動が極めて大きいという特徴があります。
そのため、東北部、中西部、南部、西部の4地域ごとに分けた上でのデータの分析や3ヵ月程度の移動平均を算出するなどのある程度の平均化をおこなった上で利用するのが一般的です。
住宅着工件数が表すアメリカの景気動向
住宅関連の経済指標は、住宅着工件数の他に建設許可件数と新築住宅販売件数、中古住宅販売件数が知られています。これらの経済指標はアメリカ経済の先行きを占うために欠かせない経済指標として注目されています。
住宅は単体での単価が高いだけではなく、住宅が建設されると家具や家電などの耐久消費財への支出も期待できるため波及効果が大きいため、アメリカ経済の先行きを予測するのに欠かせない経済指標として注目を集めているのです。
住宅関連の経済指標は、時系列で並べると
- 建設許可件数
- 住宅着工件数
- 新築住宅販売件数
- 中古住宅販売件数
と並びます。
建設許可件数は住宅着工件数の先行指標となりますが、建設許可は全米すべての地域で必要ではありません。
そのため、建設許可件数は住宅着工件数よりも少なくなる傾向があり、建設許可件数と住宅着工件数を同時に比較する必要があるのです。
米住宅着工件数の主なポイント
- 景気動向に敏感で、景気変動を把握するときに利用
- 天候に左右されやすく、月次の変動が大きい
- そのため、地域ごとや3ヶ月の移動平均で活用するのが前提
- 波及効果が大きいため、個人の消費動向に対しても影響が大きい
- 為替相場で金利面が注目されているときは注意
おわりに
アメリカ経済の先行指標として注目を集める住宅関連の経済指標の中でも、特に注目度の高いのが住宅着工件数です。
住宅着工件数の発表前後には、米ドル/日本円で10pips程度の値動きが生じるため、これに備えたポジションを持っておく必要があります。