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米国貿易収支の意味と読み解きかた

2016年2月5日 - 米国経済指標
米国貿易収支の意味と読み解きかた

「貿易収支」とはなにか

貿易収支とは、財務省が毎月「貿易統計」として発表している輸出金額と輸入金額の間に生じる差額のことをいいます。
輸出が輸入を上回る状態を貿易黒字(貿易収支が好調)、輸入が輸出を上回れば貿易赤字(収支バランスが悪い)といい、経済指標の中では比較的注目度の高い経済指標として知られています。

日本の貿易統計を例として、貿易赤字が経済に与える影響を見てみましょう。
貿易黒字の金額が増えると、それだけ取引相手国から受け取る外貨が増えるため、それを日本円に交換するために外貨を売って円を買うことになるので、円高へとつながります。
逆に貿易赤字の金額が大きくなると、同じ仕組みにより円安傾向が進みます。
貿易黒字が増えるとGDP(Gross Domestic Product = 国内総生産)が押し上げられ、 貿易赤字が増えると逆に押し下げられます。

日本の貿易収支は、2008年のリーマン・ショックと世界金融危機により赤字に転落したあとにいったん回復したものの、2011年の東日本大震災と福島第一原発の事故による原子力発電の停止とそれによる燃料輸入の大幅な増加にともない再び赤字に転じることとなりました。
2013年度上期の貿易収支は約5兆円の赤字で、この赤字額は比較可能な1979年以降、過去最大となっています。
原油価格の急落による燃料安により一時期より赤字幅は小さくなったものの、一部の月を除いて現在でも貿易赤字が続き、貿易を主体として経済を循環させている日本にとって、貿易赤字の定着は大きな問題です。

日本の貿易収支とアメリカの貿易収支の違いはなにか

日本の景気動向を見るために欠かせない貿易統計ですが、世界最大の消費国であるアメリカの貿易統計にあたる「貿易収支」は、FXで注目したい経済指標として知られています。

日本の貿易統計とアメリカの貿易収支の相違点として、アメリカの貿易収支では輸出・輸入ともに工業製品だけではなく、サービス(保険、運賃、観光等)の取引も含まれていることがあげられます。
また、日本の貿易統計は財務省から毎月20日前後に前月分の内容が発表されることのに対して、アメリカの貿易収支は商務省から毎月10日前後(夏時間:日本時間午後9時半、冬時間:日本時間午後10時半)に2ヶ月前の内容が発表されることも異なるポイントです。
経済成長のいちじるしい中国に追い上げられているものの、依然としてアメリカは世界最大の消費大国であり、世界中の国々から製品やサービスを大量に輸入することでその消費意欲を支えています。
そのため、どうしても輸出額よりも輸入額のほうが多くなるために貿易赤字が続き、歳出(国家予算)が歳入(税収)を上回る財政赤字と合わせて、「双子の赤字」と呼ばれています。

貿易赤字の拡大は、経済にとってネガティブな材料と考えることが経済学の基本とされています。
しかしアメリカの経済界の一部では、アメリカの経済活動が活発で個人消費が活発なために赤字も増えているのであり、貿易赤字の拡大はアメリカに限ってはポジティブな要素であるとの見方もあります。

どのような場面で注目するべきなのか

貿易収支はどのような局面で注目するべき経済指標なのでしょうか。

先にも触れたように、アメリカの貿易赤字は財政赤字と並んで”双子の赤字”と呼ばれるほど深刻な問題な問題として考えられています。
そのため貿易赤字の金額が大きくなると、ドルが弱くなったと考えられてドル売りが進むため、ドル売りの判断材料として、特に注目されている経済指標です。
ドルが中・長期的に下落している局面では特に関心が高くなり、最近の傾向としては、アメリカに次いで経済規模が大きいため、常に巨額となる中国との貿易赤字以外の数字が注目されるようになっています。

おわりに

このように経済構造から切っても切り離せないアメリカの貿易赤字は、FXで注目したい経済指標の1つです。
今後の金額の推移も含めて、分析の有力な材料の1つであり続けると思われます。